婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
9.
「楽しみですわね、モーゼフ」
モーゼフの隣には、相変わらずフリートという女性がべったりと座っている。
「私とあなたの婚約発表」
モーゼフにはこのフリートの言っている意味がわからなかった。だから、誰と誰が婚約をするのだろうか。
室内には鼻につくような甘ったるい香りが漂っている。
フリートがメイソン侯爵家の令嬢であることを理由に、モーゼフの婚約者として問題ないのではないか、ということが次第に囁かれ始めた。誰が言い出したのか、今となってはわからない。だが、それに便乗する声というものがあって、不思議なことにあれよあれよと話は決まっていく。最初は眉をしかめていた国王であったが、周囲の意見と、そして何よりもモーゼフが見初めた相手、ということで、次第に納得し始める。それは、無理矢理リューディアと婚約させ、失敗したことが根本にもあった。だから、国王がモーゼフとフリートの仲が認めてしまったのは、フリート自身の気持ちというものが一番大きい。
「私に、触らないでくれるか?」
ねっとりと腕を絡ませていたフリートを拒絶するような言葉がモーゼフから飛び出した。それにはフリートも眉をしかめてしまう。
「モーゼフ。どうかしたの? 私とあなたの仲じゃないの」
モーゼフの隣には、相変わらずフリートという女性がべったりと座っている。
「私とあなたの婚約発表」
モーゼフにはこのフリートの言っている意味がわからなかった。だから、誰と誰が婚約をするのだろうか。
室内には鼻につくような甘ったるい香りが漂っている。
フリートがメイソン侯爵家の令嬢であることを理由に、モーゼフの婚約者として問題ないのではないか、ということが次第に囁かれ始めた。誰が言い出したのか、今となってはわからない。だが、それに便乗する声というものがあって、不思議なことにあれよあれよと話は決まっていく。最初は眉をしかめていた国王であったが、周囲の意見と、そして何よりもモーゼフが見初めた相手、ということで、次第に納得し始める。それは、無理矢理リューディアと婚約させ、失敗したことが根本にもあった。だから、国王がモーゼフとフリートの仲が認めてしまったのは、フリート自身の気持ちというものが一番大きい。
「私に、触らないでくれるか?」
ねっとりと腕を絡ませていたフリートを拒絶するような言葉がモーゼフから飛び出した。それにはフリートも眉をしかめてしまう。
「モーゼフ。どうかしたの? 私とあなたの仲じゃないの」