婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
◇◆◇◆
「いやぁ、どんどんまずいことになってきたなぁ」
という口調は、本当にそう思っているのか疑わしいところだ。
官舎のヘイデン一家が住まう部屋。そこにエメレンスも訪れていた。今日は、現場が一斉休みである休日。それでもお手伝いさんたちが二人の子供を外に遊びに連れ出してくれているため、ここにはいつもの四人しかいない。
「これがシオドリックから届いた」
家族団らんで使用しているリビングルーム。そこのソファには、定位置のように四人が座っていて、そのローテーブルの上にヘイデンが「届いた」と言ったものを置いた。二通の手紙。
「まずは、モーゼフ殿下の立太子の件。これは、前々から決められていたことだから、何も問題はない」
それはエメレンスでさえそう思っていたこと。だから、あの兄を支えるためにと、魔導士団に入ったのだ。
「そして、こっちがモーゼフ殿下の婚約発表の件」
「婚約?」
思わずエメレンスでさえ声をあげてしまった。
「ああ。そろそろエメレンス殿下のところにも連絡が入るんじゃないのか? これは、ミシェルが手に入れた非公式な裏情報だからな。公式よりも早い」
「いやぁ、どんどんまずいことになってきたなぁ」
という口調は、本当にそう思っているのか疑わしいところだ。
官舎のヘイデン一家が住まう部屋。そこにエメレンスも訪れていた。今日は、現場が一斉休みである休日。それでもお手伝いさんたちが二人の子供を外に遊びに連れ出してくれているため、ここにはいつもの四人しかいない。
「これがシオドリックから届いた」
家族団らんで使用しているリビングルーム。そこのソファには、定位置のように四人が座っていて、そのローテーブルの上にヘイデンが「届いた」と言ったものを置いた。二通の手紙。
「まずは、モーゼフ殿下の立太子の件。これは、前々から決められていたことだから、何も問題はない」
それはエメレンスでさえそう思っていたこと。だから、あの兄を支えるためにと、魔導士団に入ったのだ。
「そして、こっちがモーゼフ殿下の婚約発表の件」
「婚約?」
思わずエメレンスでさえ声をあげてしまった。
「ああ。そろそろエメレンス殿下のところにも連絡が入るんじゃないのか? これは、ミシェルが手に入れた非公式な裏情報だからな。公式よりも早い」