婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
「ああ、なるほど」
 と魔導車が動き出したところで、感心したようにリューディアが声をあげた。
「魔宝石が足りなくなると、こうやって魔導車を動かすこともできなくなるのですね」

「そうだ」
 足と腕を組んで、背もたれに寄り掛かりながらくつろいでいるヘイデンは大げさに頷く。
「俺たちの生活は魔宝石によって支えられているからね」

「ですが。その、採掘現場において、わたくしがお役に立てるのでしょうか?」
 リューディアにとってそれが不安だった。もしかして、足手纏いになるのではないか、と。

「あるよ。採掘部隊の仕事はいろいろあるからね」
 そこでヘイデンが右手の人差し指、中指、薬指の三本を立てた。
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