婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
王都から魔導車を走らせること二時間。シャルコの街の外れの官舎に着いた。ここは魔導士団の採掘部隊に所属する人間が住んでいる一帯であるらしい。
車両から降りると、乾いた土の匂いがした。空の終わりがすぐに見えてしまうのは、すぐそこにボワヴァン山脈があるからだ。
「うわぁ。本当に王都とは違うのですね」
リューディアはつい、きょろきょろと周囲を見回してしまう。王都の街も数える程度しか行った事のないリューディアではあるが、それでもあそことこのシャルコの雰囲気が違うことくらいわかる。
「ディア。悪いがここに侍女はいない。自分のことは自分でやるようになるから、それだけは覚えておいてくれ。ただ、手伝い人を雇うことはできるから、手の回らないところは手伝ってもらっている。だが、基本的に掃除や洗濯、料理は全てイルメリがやっている。できれば、イルメリのそういったことも手伝ってもらえると、助かる。まあ、俺も少しはやるのだが……」
と最後の方の声が小さくなっていくのは、ヘイデン自身は大したことをやっていないから、なのか。
車両から降りると、乾いた土の匂いがした。空の終わりがすぐに見えてしまうのは、すぐそこにボワヴァン山脈があるからだ。
「うわぁ。本当に王都とは違うのですね」
リューディアはつい、きょろきょろと周囲を見回してしまう。王都の街も数える程度しか行った事のないリューディアではあるが、それでもあそことこのシャルコの雰囲気が違うことくらいわかる。
「ディア。悪いがここに侍女はいない。自分のことは自分でやるようになるから、それだけは覚えておいてくれ。ただ、手伝い人を雇うことはできるから、手の回らないところは手伝ってもらっている。だが、基本的に掃除や洗濯、料理は全てイルメリがやっている。できれば、イルメリのそういったことも手伝ってもらえると、助かる。まあ、俺も少しはやるのだが……」
と最後の方の声が小さくなっていくのは、ヘイデン自身は大したことをやっていないから、なのか。