婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
◇◆◇◆
食堂までは歩いていくようだ。街の中は道が狭いため、魔導車での移動はできないらしい。荷物が多い時は、馬を引く。それがこのシャルコの街での暮らし方。
「らっしゃい、って。なんだ、隊長と姫さんじゃないか。今日は家族サービスかい、隊長」
「そんなところだな。ああ、ちょうどいい。明日から、こっちで働くことになった妻の妹のリディアだ。せっかくだから、美味しい食堂を教えておこうと思ってね」
ヘイデンは砕けた口調の男にも嫌な顔一つせず、にこやかに答える。
「さっすが隊長。ここが美味しいっていうことだけはわかってるんだな」
ガハハと男は豪快に笑った。
「ディア。この熊のような大男は、採掘師長のガイル。採掘場で働いている採掘師たちをとりまとめているんだ。休みの日はこうやって、食堂を手伝っている働き者の男だ。だから、たまに働きすぎて、ぶっ倒れる」
恐らくそこは笑うところなのだろう。だけど、リューディアにはそこまでの機転が無い。
「リディア、です……」
ガイルの迫力に負けて、リューディアの口から出てきた言葉はそれだけ。
食堂までは歩いていくようだ。街の中は道が狭いため、魔導車での移動はできないらしい。荷物が多い時は、馬を引く。それがこのシャルコの街での暮らし方。
「らっしゃい、って。なんだ、隊長と姫さんじゃないか。今日は家族サービスかい、隊長」
「そんなところだな。ああ、ちょうどいい。明日から、こっちで働くことになった妻の妹のリディアだ。せっかくだから、美味しい食堂を教えておこうと思ってね」
ヘイデンは砕けた口調の男にも嫌な顔一つせず、にこやかに答える。
「さっすが隊長。ここが美味しいっていうことだけはわかってるんだな」
ガハハと男は豪快に笑った。
「ディア。この熊のような大男は、採掘師長のガイル。採掘場で働いている採掘師たちをとりまとめているんだ。休みの日はこうやって、食堂を手伝っている働き者の男だ。だから、たまに働きすぎて、ぶっ倒れる」
恐らくそこは笑うところなのだろう。だけど、リューディアにはそこまでの機転が無い。
「リディア、です……」
ガイルの迫力に負けて、リューディアの口から出てきた言葉はそれだけ。