婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。

「俺たち、休むと金にならないんだよ」

「だったら、金が出れば休むんだな?」

「仕事しなくても金がもらえるなら、そりゃ休むだろうよ」

 ということで、ヘイデンは月に一度、採掘師たちが好きな日に休める制度を作った。好きに休めるといっても、ガイルの場合、休みの日は食堂を手伝っているから食堂も休みの日に休め、とヘイデンは言った。むしろ、食堂が休みの日に休日を申請しないと、受理しないとまで脅して。
 このようにして、徐々に採掘師と魔導士たちの関係は今までよりも良好なものとなっていく。
 だが、それでも魔導士側の人手不足が解消されたわけではなかった。採鉱を担当する者が足りない。ヘイデンは日々、それに頭を悩ませていた。リューディアが来てくれて助かってはいるが、やはり人が足りない。

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