婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
5.
リューディアはただ驚くことしかできない。見上げた先にあるのは楽しそうに笑っているエメレンスの顔。
「久しぶりだね、リューディア。怪我はない?」
「あ、はい……。あの、ありがとうございます。失態をお見せして、申し訳ございません」
「いや。君が無事で何よりだよ」
エメレンスはにっこりと笑うと、彼女を解放し足場の良いところへ立たせる。
「ところで、今。リューディアは何をしていたの?」
「あ、レンさま。その、ここではわたくし、リディアと名乗っておりまして。その、イルメリお義姉さまの妹ということになっているのです。ですからどうか、わたくしのことはディアとお呼びください」
「ディア……」
と、エメレンスは口の中で呟く。彼女の愛称を呼ぶことができるということに、喜びをかみしめているのだ。
「久しぶりだね、リューディア。怪我はない?」
「あ、はい……。あの、ありがとうございます。失態をお見せして、申し訳ございません」
「いや。君が無事で何よりだよ」
エメレンスはにっこりと笑うと、彼女を解放し足場の良いところへ立たせる。
「ところで、今。リューディアは何をしていたの?」
「あ、レンさま。その、ここではわたくし、リディアと名乗っておりまして。その、イルメリお義姉さまの妹ということになっているのです。ですからどうか、わたくしのことはディアとお呼びください」
「ディア……」
と、エメレンスは口の中で呟く。彼女の愛称を呼ぶことができるということに、喜びをかみしめているのだ。