婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
「ディア、君は変わってしまったね」

「そう、でしょうか?」

「うん、強くなった。それに、綺麗になったよ」

 それは今日、リューディアと再会して最初に感じたこと。だけど、リューディアはその言葉を耳にした途端、顔を真っ赤にして俯いてしまう。眼鏡が落ちないようにと、しっかりとかけ直しているようだ。

「でもね、ディア。前にも言ったと思うけれど、美醜感覚というのは人それぞれだから。もしかしたら、兄上のようにディアの顔を好まない人もいるかもしれない。だからね、絶対にその眼鏡を外してはいけないよ。その眼鏡は、君をそう言った心無い人たちから守ってくれるからね」

「はい、ありがとうございます……。ところで、レン。その、モーゼフさまはお元気でいらっしゃいますか?」

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