2度目の人生で世界を救おうとする話。後編
「…ありがとう」
蒼のその表情に思わず、ドクンと心臓が鳴った。
まるで異性に向けるかのような優しく、愛のある表情にどぎまぎしてしまう。
蒼とはただの友だちだ。
蒼だって私のことをそう思っているはずだ。
勘違いさせるような言動は控えてもらいたい。
「これから始業式だしね。しっかりした身なりで行かないと」
「そうだね」
蒼にそう言われて私は背筋をさらにピンっと伸ばした。
私たちは見られる立場だ。
しっかりしないと。
「…琥珀、あれ花びらついていたか?」
「いや、ついていなかった」
「…ったく、好き放題触りやがって。紅もちょっとは疑えよ」
私たちよりも少し離れた所で武は眉をひそめて、琥珀は相変わらずの無表情で何かを話していたが、内容までは聞こえてこなかった。