2度目の人生で世界を救おうとする話。後編
一体どんな人が新しい職員になるのだろうか。
私も周りの生徒たちと同じように興味の眼差しをステージ上に立つ職員に向けた。
ん?
「岸本だ。担当は理科だ」
「こんにちは。佐藤です。担当は英語です。どうぞよろしくお願いしますね」
あれ、龍と暁人じゃない?
岸本と名乗った男はどう見ても龍だし、佐藤と名乗った男もどう見ても暁人だ。
岸本先生は灰色の腰までありそうな長い髪を束ねており、整った顔立ちに涼しげな黒の瞳をしている。
龍の見た目と瞳の色以外全く一緒だ。龍の瞳の色は金色だが、それしか違いがない。
岸本先生のお隣、佐藤先生の見た目も暁人そのものだった。
濃い藍色の肩につくほどのサラサラの髪に甘い顔。瞳の色だけはあの印象的な赤色ではなく、岸本先生と同じで黒色だが、暁人にしか見えない。
だけど2人からは一切、妖の気配がしなかった。
ただのそっくりさんかとも思えるが、あんなにも特徴的な男、妖の気配を感じられなくても見間違える訳がない。
「…」
ここ思いっきり能力者の中心部なんですけど。
何堂々と内部に入っているんだ?
人間側には残念ならが詳細な龍たちの見た目の情報がない。
龍たちが最後に人間の前に姿を現したのは200年前だ。
その頃にはまだ今のような精巧な技術はない。
昔の人が書いた絵だけでどうやって正確な龍たちの容姿を知れるというのか。
瞳が金とか赤くらいの情報はあるかもしれないが本当にそれだけだろう。
だから妖の気配を完全に消して人間に擬態している龍たちに人間は気づかないのだ。