2度目の人生で世界を救おうとする話。後編
何か一言物申さなければと思っていると朱が私の腕を思いっきり引っ張った。
そして自分の腕の中に私を入れ、後ろから私の肩に顔を乗せた。
「外野は何とでも言っといてください。僕たちは家族でこれが普通なんです」
「…っ!」
なんと!あざとい!
私の耳元で聞こえたどこか勝ち誇ったような朱の声は間違いなく、蒼、武、琥珀を煽るものだった。
ちなみに私の心臓にはすごく悪く、今バクバクと壊れそうな勢いで動いている。
前までなら大丈夫だったんだけど朱のことはどうしても異性として見てしまうから…。
血も繋がっている訳でもないし…。
「…死にたいのかな?」
蒼の酷く冷たい声が聞こえる。
驚いて蒼の方を見てみると笑顔さえ消えていた。
やばいぞ、あれ。
本気で怒っている。
「ちょっと痛い目見た方がいいんじゃないか?」
同じく怒っている様子の武の手には水の塊が。
「そうだな」
琥珀も今にもこちらに稲妻を落としそうな勢いだ。
おいおいおいおーい!
こんなところでまさか能力まで使って喧嘩しようとしていない!?
「待って!待って!ちょーっと待って!」
私は急いで朱の腕から逃れると朱と蒼たちの間に立って手を大きく広げた。
朱の腕から逃げる際に朱が不満そうな顔をしていたが、無視した。
「喧嘩しない!こんなことで!朱と私の距離感は今のところはあれで正解だから!だからみんな怒らないで!朱もみんなを煽らない!」
「紅?ちょっとこっちにおいで?今、君たち兄弟がどれだけおかしいかちゃんと説明してあげるから」
「結構です!」
蒼の表情が元に戻った。
胡散臭いあの笑顔に。
そしてその笑顔で手招きされているが丁重に断らせて頂いた。
「そうだよね!兄さん!煽ったつもりはなかったんだ…。ごめんね」
そんなことをしているうちにいつの間にか朱はまた私の横に現れて私に抱きついてきた。
「あの!」
訳のわからないカオスな状況に陥っているとここには似つかわしくない可憐な声が響いた。
姫巫女だ。