2度目の人生で世界を救おうとする話。後編
2度目の世界は私が変えてしまった影響からなのか、そもそもいろいろおかしかった。
1度目の世界では、姫巫女に敬語を使っていたのは守護者の中では私一人だけだったし、名前もちゃんと「由衣」と麟太朗様のように呼んでいたのに。
今では姫巫女に敬語は当然で、名前さえも呼ばない。
これもシナリオの歪み?
歪みが多すぎてよくわからなくなってきたぞ。
「2人ともお待たせー!このリンゴジュース美味しから飲んでみてよー!」
現状について色々考えていると人混みの中から嬉しそうに笑う姫巫女と胡散臭い王子の蒼がこちらに早くも戻って来た。
…リンゴジュース?
ふと、1度目の人生の丁度この日ことを思い出す。
あの時も確かなかなか心を開かない私のために優しい姫巫女がリンゴジュースを持って来てくれたのだ。
そしてそのリンゴジュースは…
1度目と同じように期待いっぱいの目で私を見つめている姫巫女がつんのめる。
慣れない着物で動き回ったからだろう。
1度目はこうしてこのリンゴジュースを私は頭から被った。
それでこれが原因で私が姫巫女のことを嫌っているだとか、怒っているだとかいろいろな噂話が立ったっけ。
…つまり被らない方がいいのでは?
ここまであまりにもいろいろなことを考えすぎた。
もっと早く判断できていれば火で蒸発くらい容易いことだったのに。
「…っ」
もうこれは頭からリンゴジュースを頂くしかないのかな!?