2度目の人生で世界を救おうとする話。後編





本来ならもう見つかっているはずの姫巫女がまだ見つかっていないことや、そもそもこの状況を招いている蒼の理解不能な行動などどう考えても1度目と今は明らかに違う。

シナリオが歪んでしまって違うのか、私がシナリオを変えてしまったからこその違いなのかわからない。



『シナリオの歪みですねぇ』



今の難しい状況について考えていると、あっさりとその答えを神様が教えてくれた。
私の脳内に直接語りかけて。

神様は私に〝世界を救うこと〟を協力させている割には、気まぐれで、いつも私が抱く疑問に答えたり、答えなかったりするが、今日は答えてくれるらしい。



『何ですか。その言い草は。私がまるで扱いずらい厄介者みたいに言わないでください。私は慈悲深い優しい神様ですよ?』



ちなみに神様は神様だからなのか人の思考も読める。
当然私の思考も読める為、こんな感じで心の中で文句を言っても全て神様に筒抜けだ。

一切の隠し事ができない。

だが、しかしこんな神様だが、神様の言う通り神様が私に優しいのも事実だった。


前回の、1度目の世界での歪みの中心は私だったらしい。
その歪みさえなければ、私が不幸になることも、最期に死んでしまうこともなかった、と神様は言っていた。

だからそんな私を哀れに思った神様は今度こそ幸せになれるように、と私に2度目の人生を与えてくれた。



『そうです、そうです。私は優しい神様で、しかもアナタの心強すぎる味方なのですよ』

『そうだね。これで私が呼びかけた時には、必ず答えてくれて、何でも濁さずはっきり教えてくれたらさらに心強いんだけどな』

『ご期待に応えられるように私なりに頑張りますね』



満足げな神様に今までの気まぐれな神様の対応について嫌味を言えば、全く気に留めていない様子の神様の答えが返ってきた。

まあ、神様は神様な訳だし、忙しいだろうから私1人にかまけている時間なんてそうないのだろうけど。




< 8 / 55 >

この作品をシェア

pagetop