2度目の人生で世界を救おうとする話。後編
『で、このシナリオの歪みはどうすればいいの』
『…そうですね。できれば蒼に姫巫女を見つけてもらうように紅が説得するか、最悪はお膳立てする…と言った感じでしょうか』
『じゃあ私は蒼が姫巫女を見つけられるようにすればいいのね』
『はい』
そうと決まれば姫巫女がいた街は知っているし、そこに張り込みでもして見つけ次第、蒼を呼んで蒼に見つけさせるようにしよう。
「紅、お前、話聞いているか?」
「っ!」
神様との会話に夢中になっていると隣を歩いていた武が怪訝そうな顔で私の顔を覗き込んでいた。
私は突然の武のこの顔に驚きで一瞬だけ目を見開く。
だが、それは本当に一瞬だけでいつものお得意のポーカーフェイスを作った。
「聞いていない」
「だと思ったわ」
それでも話は聞いていなかったので変に誤魔化さず苦笑いを浮かべると武は呆れたようにため息をついた。
「紅は姫巫女探しどうなんだよって話しだ」
「あ、あー」
武に話を振られて変な間があいてしまう。
「探しているけど見つからない、かな?」
「何で疑問系なんだよ。お前、蒼と一緒で本気で探してないだろ?」
「探してます」
「嘘つけ」
精一杯真面目な顔で受け答えをした私に武は呆れたように口角をあげた。
ちょっと小馬鹿にしている表情にも見えるが、あまりにも武の言う通りなので、反論ができない。