鳥籠公爵は二度目の初恋を逃がさない〜迷子のモフモフを見つけたら、公爵様に溺愛されました〜
 学校を卒業して、数年がたっている。

 在学中の意味深な視線の意味を聞くには、もう遅すぎる気がした。

 もう、時効だろう。本心は、気になるけれど。

「ここに、モリフクロウがいるだろう? それから、左腕に見覚えのないブレスレットも。それについて、説明させてほしい」

 まるで話し慣れていない人のように、エリオットは早口でそう言った。視線は相変わらず、逸らされたまま。

(人見知りする人なのかしら?)

 シュエットはわからないだろう。

 恋を自覚した翌朝に、パジャマ姿の想い人と遭遇した時の青年の微妙な心境なんて。

 意識してそらしていないと細い首や柔らかな胸元に視線がいきそうで、それでわざとらしいまでに顔を背けているなんて、わかりっこないのだ。
< 110 / 361 >

この作品をシェア

pagetop