鳥籠公爵は二度目の初恋を逃がさない〜迷子のモフモフを見つけたら、公爵様に溺愛されました〜
「この子が王子様と結婚すれば、もとの生活に戻れるはずよ」

 どこの馬鹿王子が伯爵家の令嬢を相手にするというのだろうか。

 王子様の相手なら当然、隣国の姫だったり公爵家の令嬢だったりするはずだ。間違っても、伯爵家の、それも没落寸前の家の娘は選ぶまい。

 そんなことはシュエットでさえわかるのに、祖父母はわからなかったらしい。

 彼らは母から金を取り上げては、伯母を飾り立てて舞踏会へ行った。

 その挙げ句、さらに借金を重ねられないとわかると、祖父母は母をミリーレデル家に売った。

 だからシュエットは──否、ミリーレデル家の人々は、母の実家が大嫌いだ。
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