鳥籠公爵は二度目の初恋を逃がさない〜迷子のモフモフを見つけたら、公爵様に溺愛されました〜
 地味にコツコツ堅実に、が信条のシュエットには、まったくもって理解し難い。

 王子様に憧れる気持ちは、わからなくもない。

 シュエットだって女の子だ。絵本に登場する見目麗しい王子様に、胸をときめかせていた時期もある。

 だけどそれは、あくまで憧れに過ぎない。

 ありきたりでいい。父と母のように愛し愛されて、ヨボヨボのおじいちゃんおばあちゃんになっても仲睦まじく添い遂げられたら──シュエットはそれだけで良いと思っている。

 彼女の友人たちは、「それだけって言うけど、それが難しいのよ」なんて笑うけれど、父や母を見てきたシュエットは、それだけは譲れないと思うのだ。
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