鳥籠公爵は二度目の初恋を逃がさない〜迷子のモフモフを見つけたら、公爵様に溺愛されました〜
 なんだろうとシュエットが視線を上げると、エリオットまで悲しそうな顔をしていた。

(なんで、そんな顔をするのよ)

 悲しいのはこっちだ。握手をしてくれないのはエリオットで、悲しいのも彼のせいなのに、どうして。

 責めるようにジトリと睨むと、エリオットは何か言おうと唇を開いた。はくはくと小さく開閉して、しかし何も言わないまま貝のように閉じてしまう。

(握手一つでこんなにかかるなら、これ以上の試練はいつ終わるのかしら)

 先が思いやられる。

 深々とため息を吐くと、エリオットがボソボソと「ごめん」と謝ってきた。
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