鳥籠公爵は二度目の初恋を逃がさない〜迷子のモフモフを見つけたら、公爵様に溺愛されました〜
「謝ってほしいわけじゃないわ」

 言い方がつい、キツくなる。

 本当に、謝ってほしいわけじゃないのだ。ただ、第一の試練とやらを早くクリアしたいだけ。それだけ、のはずだ。放って置かれた手が寂しいとか、そう思ってなんかいない、はず。

「……エリオット」

 ズン、と重みのある声がエリオットの名を呼ぶ。

 シュエットではない。ピピの声だ。

「早くしろ。お嬢さんを待たせるなんて、それでも男か?」

 わかりやすく目を逸らしているエリオットに、シュエットはまさか、と思った。とても信じ難いことだ。

 まさか、と思いつつも、即座にそんなわけないじゃないと突っ込みたくなるような考えが、脳裏に浮かぶ。
< 154 / 361 >

この作品をシェア

pagetop