鳥籠公爵は二度目の初恋を逃がさない〜迷子のモフモフを見つけたら、公爵様に溺愛されました〜
「あの、エリオット? もしかして、なんですけど。誰かと手を握るのも慣れていない、とか?」

「……実は、そう、なんだ」

 ボソボソと自信なさげに呟くエリオットに、ピピが「軟弱者が!」と喝を入れている。

「仕方がないだろう。学生時代は友だちもいなかったし、魔導書院に行ってからはもっと人と関わらなくなったんだ。僕が今、関わっているのなんて、兄上とメナートくらいなのだぞ? そんな状態で、どうやって人付き合いをしろって言うんだ」

 ピピに耳たぶを引っ張られながら、エリオットは涙目で訴えた。

 なんて、かわいそうなのだろうか。握手一つまともにできないくらい、彼は友だちに恵まれていなかったらしい。
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