鳥籠公爵は二度目の初恋を逃がさない〜迷子のモフモフを見つけたら、公爵様に溺愛されました〜
 つないだ手が、キュッと握り込まれる。痛くはないが、なんだか強く抱きしめられたような錯覚を覚えて、シュエットの胸がドキリと早鐘を打つ。

 あっさりドキドキしてしまう自分の心を叱咤して、シュエットは「お願いね」と笑い返した。

「シュエット」

「なんですか?」

 言い淀むように黙ったエリオットに、シュエットも気になって足が止まる。

 ツアーの団体客がその横を通りながら、「なんだなんだ」と期待するような視線を向けてきた。

「エリオット。注目されているから、話したいことがあるなら早く言ってちょうだい?」

「その……敬語を、やめてほしいなぁと」
< 162 / 361 >

この作品をシェア

pagetop