鳥籠公爵は二度目の初恋を逃がさない〜迷子のモフモフを見つけたら、公爵様に溺愛されました〜
「見た目は魔術で取り繕えても、老朽化まではごまかせないから」

 魔導書院の中、特にエリオットの居住区は雨漏りまでする始末で、このままでは大事な魔導書に影響が出る。

 放置すればいずれは倒壊するだろう。そうなれば、近隣の住宅に被害が及ぶ。

 それだけは、避けなければいけない。元王族で公爵の、魔導書院の院長であるエリオットには、その責任があった。

「ひと月後には、ペルッシュ横丁の近くに建てている新しいヴォラティル魔導書院へ引っ越す予定だ」

 エリオットがそう言うと、シュエットは納得したように「ああ」とため息のような小さな声を漏らした。

「あれは、新しい魔導書院だったのね」
< 168 / 361 >

この作品をシェア

pagetop