鳥籠公爵は二度目の初恋を逃がさない〜迷子のモフモフを見つけたら、公爵様に溺愛されました〜
 微かに笑みを浮かべて見上げてきたシュエットに、エリオットはホッと胸を撫で下ろした。

 エリオットは、自分が一般的な男性より魅力的ではないと自覚している。

 話していても面白くないだろうし、気遣いだって下手くそ。今まで人を遠ざけてきた、その報いを受けているのだろう。

 今更後悔したって巻き戻せないから、せめて今を精一杯やろうと頑張っているのだが、なかなかうまくいかない。会話ひとつまともに続けられない自分に、嫌気が差した。

「古い劇場の跡地にずっと囲いがされているから、何ができるんだろうって、横丁でうわさになっていたのよ」

「そうなのか」

 建設中の土地には大きな囲いがされていて、中の様子はわからないようになっている。

 ペルッシュ横丁には「公共施設だ」と伝えていたはずだが、魔導書院だとは思っていなかったのかもしれない。
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