鳥籠公爵は二度目の初恋を逃がさない〜迷子のモフモフを見つけたら、公爵様に溺愛されました〜
 ペルッシュ横丁の近くに新たなヴォラティル魔導書院を建設することになったのは、偶然だ。エリオットの私情によるものではない。

 王都には空き地がなく、たまたまペルッシュ横丁の近くにあった古い劇場が売りに出されていたので、買い取ったのだ。

 とはいえ、新しい魔導書院を作ろうと言い出したのも、劇場が売りに出されたことを知らせてきたのも、兄である。

 何かあるとみて間違いない、とエリオットは思っていた。

 鉄柵の向こうには石畳の道が続いている。

 道の先には重苦しい重厚感のある建物があって、エリオットたちを入れまいとしているように見えた。

 気のせいだ。魔導書院の院長たるエリオットが、入れないなんてことはあり得ない。

 だって、ここはエリオットの魔力で成り立っているのだから。
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