鳥籠公爵は二度目の初恋を逃がさない〜迷子のモフモフを見つけたら、公爵様に溺愛されました〜
 確かに、その通りだ。だがそれでも、エリオットがいるのといないのとでは、違う。

 なんとか仕事をしてもらう術はないかとメナートは思案するが、混乱の最中にある頭ではろくな案が浮かばない。

 悔しそうに口を閉じるメナートに、エリオットは王族らしい、有無を言わせぬ顔でほほ笑んだ。

「頼むよ、メナート。もしもうまくいったら、僕に奥さんができるんだぞ? おまえも言っていただろう、早く嫁をもらえと。その機会がやってきたんだ。応援してくれるな?」

 不敵な笑みを浮かべるエリオットは、それはもう凶悪に色っぽかった。男のメナートさえ、「ひゃい」とろれつが回らなくなるほどに。

「そうかそうか、それは良かった。ひと月後の引っ越しまでには戻れるようにするから、それまでよろしく頼む」

 優しく肩をたたかれて、メナートはまたしても「ひゃい」と返事をしてしまった。
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