鳥籠公爵は二度目の初恋を逃がさない〜迷子のモフモフを見つけたら、公爵様に溺愛されました〜
 言ってしまってから焦っても、もう遅い。してやったりな顔でニマニマ笑うエリオットに、メナートはガックリと床に膝をついた。

「うわぁぁん! 俺のばか!」

 獅子のようだと評される凛々しい顔も、形無しである。

 いい歳して泣き喚くメナートをあっさり放置することに決めたエリオットは、早々に彼から視線を外すと、ベッドの上に私服を並べ始めた。

「メナート。女性が好む服とは、どういったものだろうか?」

 メナートは泣き喚いているというのに、エリオットはお構いなしだ。

 こういう時は空気を読んでほしいと、メナートはいつも思うのだが、彼の境遇を考えると強く言えない。

 エリオットは悩み顔だが、どこかウキウキしているようにも見えた。よほど、シュエット嬢がお気に召したのだろう。

 いつもやる気がなく精彩に欠ける表情を浮かべているのがデフォルトなのに、今はその面影さえない。暗く澱んでいた赤の目は、今やキラキラと宝石のように輝いている。
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