鳥籠公爵は二度目の初恋を逃がさない〜迷子のモフモフを見つけたら、公爵様に溺愛されました〜
「焦るあまり、ついその気持ちが表情に出てしまって。今日来店されたお客様……今ね、シロフクロウを迎えるか悩んでいる方なのだけれど……その方に、失礼な態度を取ってしまったの。接客業なのに顔に出してしまうなんて、駄目ね、私」

「……客に、怒られたのか?」

 シュエットの話で、エリオットが一番気になったのはそこだった。

 好きな女性が傷つけられて、何も思わない男などいない。たとえシュエットが悪かったのだとしても、エリオットからしてみれば客の方が悪い気がしてしまう。

「いいえ。逆に謝られたわ」

 客が飼っているワシミミズクが、店のシロフクロウに恋をしているらしい。それで、客はシロフクロウを迎えたいと思ってはいるのだが、ワシミミズクを愛するがために、なかなか決心がつかないのだとか。

「私も、お客様のように大人の対応ができれば良かったのだけれど……」

 自嘲するように苦く笑いながら話すシュエットに、エリオットは何も言えなかった。
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