鳥籠公爵は二度目の初恋を逃がさない〜迷子のモフモフを見つけたら、公爵様に溺愛されました〜
 オロオロと戸惑うように視線を彷徨わせるシュエットに、エリオットは「そんなことはないっ」と慌てて答えて、離れていった彼女の手を両手で包み込むように握った。

「シュエットからなら、大歓迎だ。むしろ、そうして離れられる方が堪える」

 エリオットは、真剣な顔でそう言った。

 途端、シュエットの心臓がドキリと妙に脈打つ。

 触れられた手が、いつもと違ってひやりとする。

 いつもならエリオットの方があたたかく感じるのにと思って、らしくもなく自分の方が緊張していることに気がついた。

 シュエットの手を握るエリオットの手は、当然だが彼女よりも大きい。今まで何度も握ったし、つないで歩いたというのに、この時急に、シュエットはエリオットが男なのだと認識した。
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