鳥籠公爵は二度目の初恋を逃がさない〜迷子のモフモフを見つけたら、公爵様に溺愛されました〜
 シーニュ・ミリーレデル。旧姓、レヴィ。

 ミリーレデル商會の社長夫人にして、占星術を扱う魔導師でもある。

 シーニュの生家であるレヴィ家は、占星術に長けた一族だ。その精度は凄まじく、占星術というより予言に近いと言われている。

 とはいえ、ここ百年ほどはその能力に恵まれた人物はおらず、結果を出せずに没落の一途をたどったわけだが。

 シーニュ自身も、能力に恵まれているわけではない。倒れるほどに魔力を使ってようやく、あいまいな言葉を聞くことができる程度である。

 彼女の健康とその他諸々を検討した結果、パングワンはシーニュが占星術を使うことを禁止していた。

「倒れたのか?」

「ちょっとフラついただけですわ。ほら、この通り、ちゃんと立っているでしょう?」

 苦笑いを浮かべて優雅にお辞儀してみせるシーニュに、パングワンは「仕方のない人だな」と苦笑いを返した。
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