鳥籠公爵は二度目の初恋を逃がさない〜迷子のモフモフを見つけたら、公爵様に溺愛されました〜
『横から失礼いたします。お言葉ですが──』

 そう言ってシュエットを庇うように声を張り上げたエリオットの横顔は、きっとずっと忘れない。

 だって、すごく嬉しかったから。そして、とても綺麗だったから。

(試練が終わったら、記憶を消されてしまうのよね。じゃあ、あの横顔も、忘れてしまうのかしら……)

 それは、なんだか嫌だった。

 でもだからといって、エリオットを選ぶこともできない。

「だって、三人きょうだいの一番上は、うまくいかないから」

 呪いのように、ジンクスが脳裏を掠める。

「嫌だわ。本当に、嫌になる。どうして私は、三人きょうだいの一番上なのかしら……」

 二人きょうだいだったら、こんな思いをしなくて良かったのに。

 でもだからといって、末っ子がいないミリーレデル家なんてありえない。

「そういえば私は、いつからこのジンクスを気にするようになったのかしら」
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