鳥籠公爵は二度目の初恋を逃がさない〜迷子のモフモフを見つけたら、公爵様に溺愛されました〜
「おまえは知らぬであろう? 王妃は、おまえが眠った後、こっそりやって来てはおやすみのまじないをしていたのじゃ。うっかり魔力切れになって王に叱られていたがの」

 してやったりと笑うピピに、エリオットはこの禁書はどこまでわかってやっているのだろうと思った。

 シュエットとの距離を縮めるだけじゃない。長年拗らせていたエリオットの家族への気持ちまでどうにかしようとしているのではないかと、そんな考えが脳裏を過ぎる。

「額へのキスはそのために……?」

「どうであろう?」

 エリオットの質問に、ピピは肩を竦める。それ以上の質問は受け付けないとばかりに、幼女の顔に大人びた微笑を貼り付けた。

「さて、エリオット。この試練は合格じゃ。だが……少々問題がある」

 貼り付けた微笑が、剥がれる。

 神妙な面持ちで告げられて、エリオットはなにを告げられるのかと身構えた。
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