鳥籠公爵は二度目の初恋を逃がさない〜迷子のモフモフを見つけたら、公爵様に溺愛されました〜
 場に漂う微妙な空気を振り払うかのように、カナールはシュエットに手を伸ばした。

「なに言ってんだよ! シュエットはかわいいよ!」

 カナールは、シュエットの頭をグシャグシャと撫でた。

 宣伝のために、いつもと違う装いをしていた彼女の髪は、カナールの手で乱される。

 シュエットは「もう」と頰を膨らませてカナールの手を払った。

「いてぇ」

 まるで姉と弟のようなじゃれあいに、シュエットもクスッと笑みをこぼす。

 ようやくいつもの調子に戻ったことに、カナールはそっと安堵した。
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