鳥籠公爵は二度目の初恋を逃がさない〜迷子のモフモフを見つけたら、公爵様に溺愛されました〜
「エリオット。今日も、ありがとう。お礼になるかはわからないけれど……ここ、使ってちょうだい?」

 そう言って、シュエットは太ももを指し示した。

 前髪の隙間から、エリオットの目がのぞいている。シュエットの指につられるように、彼の視線は彼女の太ももへ落ちた。

「は?」

 エリオットの口から、間抜けな声が漏れ出る。かと思えば、トロンとしていた目が急に大きく見開かれて、ガバリとテーブルから身を起こした。

「はい⁈」

 動揺を隠せない様子のエリオットに、「まぁそうよね」とシュエットは呟いた。

 一応、予想の範囲内ではある。シュエットが触れる時、彼はいつも挙動不審だから。
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