鳥籠公爵は二度目の初恋を逃がさない〜迷子のモフモフを見つけたら、公爵様に溺愛されました〜
「じゃあ、どうぞ?」

 できるだけなんでもない風を装って、シュエットは膝枕を勧める。

 そんな彼女にエリオットは何か言おうとして、でも何も言えずにおとなしく頭を預けた。

 シュエットは気づかない。

 エリオットを見る彼女の目は、砂糖を煮詰めた蜜のように、甘くて優しい色を滲ませていた。

 どんな阿呆だってわかる。シュエットがエリオットを、どう思っているかなんて。

 だからエリオットは、勢いのままに気持ちを、そして隠しているすべてを吐露しそうになった。

 視界の端でピピが両手でバッテンをつくっていなかったら、言っていたかもしれない。
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