鳥籠公爵は二度目の初恋を逃がさない〜迷子のモフモフを見つけたら、公爵様に溺愛されました〜
「シュエット嬢。舞踏会で、僕と踊っていただけませんか?」

 しばらく沈黙が落ちて、ポソポソと声が聞こえる。

 無意識に呟いたであろう言葉は、返事を今か今かと待っているエリオットの耳に、しっかりと届いた。

「反則よ。ここでこの表情をするなんて、ずるい。だって、かっこいい。すごく、かっこいい」

 顔を赤くして恥ずかしそうに俯く彼女の顔が、ひざまずいているエリオットにはよく見えた。

 一見冷たそうにも見えるシュエットの深い青の目が、熱く潤んでいる。

 そうさせているのが自分なのだと理解した瞬間、ぶわり、と一瞬で全身の血が沸騰したように熱くなった。
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