鳥籠公爵は二度目の初恋を逃がさない〜迷子のモフモフを見つけたら、公爵様に溺愛されました〜
 未だかつて、そんなことを言われたことがあるだろうか。

 そんな自問自答なんて不要だ。一度だって、なかったのだから。

 かっこいいはいつだって兄のためにある言葉で、エリオットに与えられることなんてなかった。

 それなのに、愛する女性から、それも無意識に言われたら、浮かれないはずがない。

 ひざまずいていて良かった。そうでなかったら、今ここで、シュエットを抱き竦めていただろう。

「一緒に、行ってもらえるだろうか?」

 とどめとばかりに、上目遣いでシュエットを見つめる。

 彼女はヒュッと息を飲んで、「もうだめ」と観念したように見返してきた。
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