鳥籠公爵は二度目の初恋を逃がさない〜迷子のモフモフを見つけたら、公爵様に溺愛されました〜
 隣でエリオットが「あ」と小さく声を漏らす。

 気まずそうに一歩引いた彼に、シュエットはどうしたのだろうと視線を追った。

 エリオットは、会場へ入ってくる男を見ていた。

 会場内でヒソヒソとささやかれる言葉が、シュエットの耳にも届く。

 人々は口々に「公爵様」と、確かにそう言っていた。

「あら?」

 男は、一度だけ会ったことのある人によく似ていた。

 随分前に、フクロウが迷子になったと店を覗き込んでいた不審者だ。

(でも、ちょっと違うわ)

 シュエットが見たのは、艶やかな黒髪とオレンジ色の目をした青年だ。

 浅黒い肌に鮮やかなオレンジ色の髪ではない。

(オレンジ色の目は、合っているけれど)
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