鳥籠公爵は二度目の初恋を逃がさない〜迷子のモフモフを見つけたら、公爵様に溺愛されました〜
「久しぶりね、グリーヴ」

 シュエットがにこやかに笑いかけると、グリーヴは小馬鹿にするように鼻で笑った。

「シーニュのように、パトロンでも見つけたのでしょう? 親娘そろって、似た者同士ねぇ」

 伯母のジャキャスは、まるで汚いものを見るようにシュエットを睥睨してくる。

 彼女はいつもそうだ。貴族と庶民は違う生き物なのだと本気で思っている。

『貴族は偉くて、王族はもっと偉くて、それ以外は虫みたいなものなのよ』

 偉そうにグリーヴから言われた時は「こいつは阿呆なのか」と心配したものだが、この母であればそんな考え方になっても仕方がない。

 下手に反抗しても騒ぎ立てられるだけだ。せっかくの舞踏会で悪目立ちしたくない。

 いつも通り、シュエットは当たり障りのない笑みを浮かべて、やり過ごす。
< 301 / 361 >

この作品をシェア

pagetop