鳥籠公爵は二度目の初恋を逃がさない〜迷子のモフモフを見つけたら、公爵様に溺愛されました〜
 胸が、嫌な音を立てていた。足が震える。

 得体の知れないものに出会ってしまった。

 そんな恐怖で頭がいっぱいになる。

「三人きょうだいの一番上は、うまくいかない。ああ、そうさ。忘れちゃいけない、君のことなのだから」

 ムウェトはそれだけ言うと、すぐさまいつものおとなしい彼に戻った。

「わ、私は、ちゅ、忠告したからね。じゃ、じゃあ、妻と娘が、ままま待って、いるから」

 シュエットを置いて、ムウェトは去っていく。

 公爵様たちへあいさつしようと、令嬢とその親たちが集まり出していた。

 人混みに埋もれていく彼を見つめ、シュエットは問いかけるように「うそでしょう?」と呟いた。
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