鳥籠公爵は二度目の初恋を逃がさない〜迷子のモフモフを見つけたら、公爵様に溺愛されました〜
 決めたはずの決断を、覆す。

 考え抜いた末の決断だったのに、こんなにもあっさり変えてしまえる自分が、大嫌いだ。

(私はいつだって、そう。誰かを好きになっても、気持ちを簡単に捨ててしまえる。なんて薄情な女なのかしら)

 自己嫌悪に、ため息しか出ない。

 シュエットが地に沈みそうなくらい深いため息を吐くと、目の前にスッと手を差し出された。

 白い手袋をはめた、男の人の手だ。

 エナメルの靴に、ミッドナイトブルーのジャケットも目に映る。

 見上げれば、焦りを顔ににじませたエリオットが、シュエットを見下ろしていた。

「ごめん、シュエット」

 綺麗なアーチ型の眉が、申し訳なさそうにヘニャリとしている。

 走ってきたのだろう。

 エリオットの息は乱れ、呼吸するたびに肩が上下していた。
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