鳥籠公爵は二度目の初恋を逃がさない〜迷子のモフモフを見つけたら、公爵様に溺愛されました〜
「エリオット」

「待たせて、ごめん。でも、あの……」

 差し出された手が、わずかに下がる。

 シュエットを待たせてしまったから、もうダンスに誘う資格なんてないと思っていそうだ。

(むしろ、私の方にその資格がないというのにね)

 言い淀むエリオットに、気づけばシュエットは「怒っていないから」と返していた。

(駄目なのに。ここはちゃんとお断りして、帰らなきゃいけない場面なのに)

 シュエットがそんなことを考えているとも知らず、エリオットの表情がパッと明るくなる。

 下げかけて宙に浮いていた手が、再びシュエットへ差し出された。

「一曲お相手いただけますか?」
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