鳥籠公爵は二度目の初恋を逃がさない〜迷子のモフモフを見つけたら、公爵様に溺愛されました〜
(めでたしめでたしで終わるのは、絵本の中だけ。現実は、ままならないものなのよ、シュエット)

 いつものように、戒める。

 そう、いつものことだ。

 エリオットへの気持ちもきっと、いつかは思い出になる。

(いいえ、思い出にもならないわ。だってピピが、すべての記憶を消してしまうから)

 広間へと続く窓から、華やかなメロディーが聞こえてくる。

 目の前には真っ白な花がランプに照らされて、幻想的でロマンチックな空間を作り出していた。

 会場へ入ってきた時、ここで告白されたらイエスと言ってしまいそうなんて思ったが、今は絶対イエスなんて言わないと断言できる。
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