鳥籠公爵は二度目の初恋を逃がさない〜迷子のモフモフを見つけたら、公爵様に溺愛されました〜
(公爵様のくせに、どうしてそんなにかわいいのよ。貴族社会なんて、陰謀渦巻く世界でしょうに)

 エリオットみたいな人は、貴族社会で力を持ったお嬢様の中のお嬢様とかお姫様とか、そういう人が必要なはずだ。

 嫁選びの書がどうしてシュエットを選んだのかはわからない。

 だけどエリオットに必要な人は、シュエットじゃないはずだ。

 いろいろ考えたけれど、結局はエリオットを諦める理由を探しているだけだった。

 仕方のないことなのだと、自分を納得させたいだけ。

(さぁ、悪あがきはやめて、終わりにしましょう)

「シュエット……?」

 まるで迷い子のように不安そうな顔をしたエリオットが、ベンチから立ち上がってシュエットのもとへ近づいてくる。

 シュエットは抱き寄せたくなる気持ちを押し込めて、「来ないで」と意識して冷たい声を出した。
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