鳥籠公爵は二度目の初恋を逃がさない〜迷子のモフモフを見つけたら、公爵様に溺愛されました〜
「久しぶりだね、シュエット」

 罪悪感で、シュエットは彼の顔を見ることもできない。

「あれ、おかしいな。ピピはまだ、記憶を消していないはずだよね? 僕のこと、忘れちゃった?」

「……忘れてないわ。ちゃんと、覚えている。どうしてか、わからないけれど」

 喉が張り付くような不快感を覚えながら、シュエットはポツポツと答えた。

「そう。まだ覚えていてくれて、嬉しいよ」

 エリオットはそう言うと、近くにあった椅子を持ってきて、シュエットの向かいで腰掛けた。

 彼の手には何枚もの書類の束が握られていて、その表には『極秘事項』と赤いインクでスタンプが押されているのが見える。
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