鳥籠公爵は二度目の初恋を逃がさない〜迷子のモフモフを見つけたら、公爵様に溺愛されました〜
 それ以来、好きが過ぎて花嫁に逃げられる王族のために生み出された禁書は、シュエットを宥めすかし、煩悩に塗れたエリオットを叱り飛ばし、なんとか婚姻まで清い仲でいさせようと必死である。

 カチャリ、と扉が再び開く。

 おずおずと扉から顔を覗かせたシュエットに、それまで浮かべていたしかめ面から、とろけるような笑みへ塗り替えた。

「……エリオット」

「どうしたの、シュエット」

 執務机に肘をついて、首をかしげる。

 もちろん、わざとだ。子どもっぽいしぐさをするとシュエットが甘やかしてくれるのをわかっていて、やっている。
< 358 / 361 >

この作品をシェア

pagetop