鳥籠公爵は二度目の初恋を逃がさない〜迷子のモフモフを見つけたら、公爵様に溺愛されました〜
 シュエットは「あらあら」とまるで妹たちのけんかを仲裁するような態度で見守っていたが、不意に視線を遠くへ投げた。

 何か、見えたのだろうか。

 トログロディット侯爵の魔術を解いてから、彼女の能力は目覚ましい成長を見せている。

 ふとした弾みに未来を見ることも、増えてきているらしい。

「何か見えたのか?」

「ええ。楽しそうな笑い声だったわ」

 声ときたか。

 本当に、彼女の進化には驚かされる。

 予言の魔導師と呼ばれる日は、近いかもしれない。

 執務室の止まり木で、モリフクロウ姿のピピが「ホゥ」と鳴く。

 まるで「ね? 結婚相手は誰でも良くなかったでしょ?」と言っているように聞こえて、エリオットは苦笑いを浮かべた。

 ピピの言う通りだ。

 誰でも良くなんてなかった。

 エリオットは諦めていただけ。

 初めて会ったあの時から、きっともう決めていた。

 シュエット・ミリーレデル。

 彼女しか、要らないと。
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