鳥籠公爵は二度目の初恋を逃がさない〜迷子のモフモフを見つけたら、公爵様に溺愛されました〜
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 シュエットの家は、至ってシンプルな間取りだ。

 玄関を入ってすぐに青いタイルが印象的な可愛らしいキッチン。続くフロアが、リビングダイニング。その左奥がユニットバスで、右奥に置かれた衝立の奥が寝室である。

 少々家賃がお高めな王都で、女性の一人暮らしにしては広めな間取りになるだろう。

 とはいえ、娘ラブを公言してやまないミリーレデル氏は、シュエットがここで暮らすことを良しとしていない。結婚するまでは実家に居てほしい、というのが本音だ。

 だが、二女アルエットの恋人が次期後継者になるかもしれないと知りながら、いつまでも長女のシュエットが居座るわけにもいかない。

 それに、今時「結婚するなら順番に長女から」なんて風潮はないのに、変なところで古風な母が見合い話を取り付けてきそうで嫌だった。
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