鳥籠公爵は二度目の初恋を逃がさない〜迷子のモフモフを見つけたら、公爵様に溺愛されました〜
 フクロウの姿をしている魔導書は禁書と呼ばれる類のもので、絶対に外へ出してはいけないものだ。主に、王族の婚姻に関わる古の魔術が記載されているためである。

 禁書は、三冊。モリフクロウの嫁選びの書、メンフクロウの婚約の書、シロフクロウの婚姻の書だ。

 モリフクロウは、エリオットがいい歳をして恋人の一人もいないのを気にかけているようで、嫁選びの魔導書らしく、いつも物言いたげにジトリと彼を見つめていることが多い。

 その日、エリオットは押し付けられた雑務に嫌気がさしていた。

 ひと月後に控えた魔導書院の引っ越しのため、いつもにはない仕事が日々増えながら舞い込み、そうでなくともやる気のないエリオットのやる気を削いでくる。

 その上、兄である王は未だ独身を貫く弟に要らぬお節介を焼いて、縁談をしこたま持ってくるのだ。
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