【仮】イクツニナッテモ
・…そういうものだ
疲れた…。既に疲れている。当たり前と言えば当たり前と、思ってくれる?
本職は立ち仕事。休憩を挟んだとしても、ずっと立ちっぱなしだ。
お腹も空いた。バイトまで時間が中途半端。ゆっくり空腹を満たす時間はない。
誰も居ない更衣室でボトル缶のコーヒーを開けた。気休めにお腹の中で膨らんでくれそうなおからクッキーをつまんだ。休憩時間に食べた残りだ。コーヒーだけはゆっくりと飲んだ。移動してこれから4時間…。やりきれば丁度明日は休みだ。頑張れるだろう。
空き缶とクッキーの残りを片付け、トイレに。
これから帰るまで、休む暇もない。週末はきっと忙しいに違いない。だからこその採用。こんな私でも、役に立たなければ。

更衣室を出てエレベーターに向かいボタンを押した、ハッとした。…もう…駄目じゃないか、何をやってるんだか。上がってきてるエレベーターを諦めた。

ハァ…これ。今日持って行かないでいつ返せるっていうの。
うっかり忘れそうになった傘を取りに戻って手にした。今日こそ、返せるはず。

エレベーターを利用せず階段に向かった。
出来れば少しでも労力は残しておきたかったのに。
いつも通り裏口から出て会社をあとにした。
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