【仮】イクツニナッテモ
想定していなかった。単純だ、私は。
当然のように彼は店に出てるものだと思っていたから。
お店に着いた私は前回のようにレジの横から奥に入った。
自然と右に目が行った。
ガタンゴトンと流しで洗われている食器の音がした。その音を立てていたのは違う子だった。居ない。あ、まあ、フロアとか、出てるタイミングなのかもしれない。取り敢えず…傘は…傘立てに。雨が降ってる日でもないから。
「あ!お待たせ。今日も宜しくお願いします。先に着替えてここで、始業時間まで待っててください」
店長が暖簾を避け現れた。
「あ、はい、分かりました。今日もお世話になります」
「はい」
なんだか聞きたいことがあるような気もしたけど。止めておいた。何を聞こうとしても結局、次はない。今日で終わりだ。
仕事着は前回のように休憩室の机の上に綺麗に畳んで用意されていた。名札も健在していた。
手早く着替えを済ませて元いた場所に戻った。
あ…やっぱり、居ないようだった。
「今日も前回と同じです」
「あ、はい」
「注文が入ったら冷蔵庫から出して、提供してください。席にある空いた食器など目についたらさげてください。あと、帰られた席の片付けもお願いします。カネダさん、カネダさんはもう出さなくていいです、猛家さんがしますから」
「はい」
女の子だ。いつ?どこから現れたんだろう。カネダさんていうらしい。とてもスレンダーな子だ。さっきは居なかったようだけど。あっちにいたのかな。
「今日は宜しくお願いします」
「はい」
ピー、ピー…。あ、オーダーが入って来てる。確認して冷蔵庫から出さなくちゃ。動き出そうとしたとき、横から手が延びてきた。…あ、え?
「カネダさん!今、言ったばっかりでしょ。出すのは猛家さんがするからって。カネダさんはもうしなくていいから。
えっと…フロア、巡回してきて。…食器、さげるのあるか見てきて、あ、あったらさげて、あ、えっと、こっちに持ってきて。沢山あるようなら、桶、持って行って、分かった?」
「はい」
びっくりした。店長の強めの声。初めて聞いたからだ。それにイライラしてるようにも見えた。彼女、入って間もないのかもしれないな。だから、事細かく伝えてるのかも。
「…フゥ。あ、ごめんね、驚かせちゃったね。続けてください。トレー、出してください」
「はい」
「またカネダさんがやろうとするかもしれないけど。遠慮せずというか、気にせずに猛家さんがやってください。僕、注意するんで」
「え、あ、はい、分かりました。では、持って行って来ます」
私でいいのかな…。
「はい、お願いします」
冷蔵庫から取り出したトレーを積み、客席を確認して向かった。
どうやらカネダさんという人、何かありそうだ。だけど、深入りは…。私は数時間しか居ないし。私は言われた仕事をしよう…うん。
当然のように彼は店に出てるものだと思っていたから。
お店に着いた私は前回のようにレジの横から奥に入った。
自然と右に目が行った。
ガタンゴトンと流しで洗われている食器の音がした。その音を立てていたのは違う子だった。居ない。あ、まあ、フロアとか、出てるタイミングなのかもしれない。取り敢えず…傘は…傘立てに。雨が降ってる日でもないから。
「あ!お待たせ。今日も宜しくお願いします。先に着替えてここで、始業時間まで待っててください」
店長が暖簾を避け現れた。
「あ、はい、分かりました。今日もお世話になります」
「はい」
なんだか聞きたいことがあるような気もしたけど。止めておいた。何を聞こうとしても結局、次はない。今日で終わりだ。
仕事着は前回のように休憩室の机の上に綺麗に畳んで用意されていた。名札も健在していた。
手早く着替えを済ませて元いた場所に戻った。
あ…やっぱり、居ないようだった。
「今日も前回と同じです」
「あ、はい」
「注文が入ったら冷蔵庫から出して、提供してください。席にある空いた食器など目についたらさげてください。あと、帰られた席の片付けもお願いします。カネダさん、カネダさんはもう出さなくていいです、猛家さんがしますから」
「はい」
女の子だ。いつ?どこから現れたんだろう。カネダさんていうらしい。とてもスレンダーな子だ。さっきは居なかったようだけど。あっちにいたのかな。
「今日は宜しくお願いします」
「はい」
ピー、ピー…。あ、オーダーが入って来てる。確認して冷蔵庫から出さなくちゃ。動き出そうとしたとき、横から手が延びてきた。…あ、え?
「カネダさん!今、言ったばっかりでしょ。出すのは猛家さんがするからって。カネダさんはもうしなくていいから。
えっと…フロア、巡回してきて。…食器、さげるのあるか見てきて、あ、あったらさげて、あ、えっと、こっちに持ってきて。沢山あるようなら、桶、持って行って、分かった?」
「はい」
びっくりした。店長の強めの声。初めて聞いたからだ。それにイライラしてるようにも見えた。彼女、入って間もないのかもしれないな。だから、事細かく伝えてるのかも。
「…フゥ。あ、ごめんね、驚かせちゃったね。続けてください。トレー、出してください」
「はい」
「またカネダさんがやろうとするかもしれないけど。遠慮せずというか、気にせずに猛家さんがやってください。僕、注意するんで」
「え、あ、はい、分かりました。では、持って行って来ます」
私でいいのかな…。
「はい、お願いします」
冷蔵庫から取り出したトレーを積み、客席を確認して向かった。
どうやらカネダさんという人、何かありそうだ。だけど、深入りは…。私は数時間しか居ないし。私は言われた仕事をしよう…うん。